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世論の動向より

原発再稼働の議論に思う

The 世論調査:日本映像通信 2月5.6日実施

 我が国の政治、またそれを取り巻く局面について思うことは、「科学や事実」よりも人の思惑、特に政治家、役人、経済人、社会活動家などの思惑が先行してしまうということです。再稼働の是非を言う前にその前提を整理することが必要です。もちろん賛成、反対、それぞれに理由はあります。どちらが正しい、間違っているということもありません。でもしっかりとした情報に基づいて自分の意見を決めるということは最低限必要なことだと思います。

 我が家では12月は海外などに出ており半月しか家にいないのにも関わらず電気代が1万3000円もかかってしまいました。これはたまらないと思い年明けから暖房をエアコンから石油ストーブに切り替えました。さすがにあまりに寒い時は10分程度の時間限定併用をしました。その結果はほぼまるまるひと月家にいたにも関わらず、電気代が7300円、石油代が70リットルで7000円、合計1万4300円で済みました。ざっと半分強です。エアコンが古いことを差っ引いても、常時ストーブの上にヤカンを載せているので電気ポットの電気代がいらなくなる、加湿器がいらなくなるなどいろいろ副次効果もありました。

 さて本題。原発再稼働について。

1.原発は安全ではない
 はっきり申し上げて原発は安全ではありません。これは常識です。事故は1度あることは、頻度はともかく必ず2度あります。1回の大事故の影には20回の小事故、1回の小事故の影には20回の事故に至らない危険な出来事があります。これは安全工学の基礎知識です。感覚としては20回の蒸気漏れで1回の人身事故、20回の人身事故で1回の大事故というくらいでしょうか。目の子日本全体で100年に1回くらいは大事故が起きそうな感じです。これはちゃんと統計を調べればもっとはっきりした数字が出ます。個別の発電所別についてもでるでしょう。これは基礎ですから関係者は知っているはずです。
 それと地震の知識です。みなさんは活断層を調べることをしておられるようですが、活断層は地震の結果であって原因ではありません。もちろん活断層があるところは過去に地震がありそこが脆くなっていますから危険度は高いです。しかし忘れてはいけないのは活動層が無いからといって地震が起こらないというものではないということです。これも確率の問題にほかなりません。

2.石油、天然ガスは簡単には枯渇しない
 私がこどもの頃、もうすぐ石油はなくなってしまうから、その後のエネルギーをどうしようか、埋蔵量が限られているだけでなく人間もますます使うようになるから予想よりも早くなくなるかもしれないと考えていたものです。原子力発電が始まったのもこの頃のことだと思います。当時は大気圏内核実験も行われていましたし、今ほど少量の放射線の長期的影響に世の中が敏感ではなかったのでしょう。なにしろ原爆まで投下された戦争が終わってまだ20年足らずの時期です。
 そんな中、石油はもうあと30年でなくなると言われてからずっとあと30年でなくなるが続いています。これはいくつか理由があって、採掘技術の向上で採掘可能埋蔵量が増えたことが最大の原因です。また近来オイルシェル(頁岩)からの抽出も行われています。
ところで現在では石油の生成については従来の大昔の海のプランクトンなどが元になって石油が出来たという有機生成説ではなくて無機生成説が有力になりつつあるのをご存知でしょうか。どういうことかというと地球内に存在している炭素、水素などがその高温高圧で炭化水素分子を形成していったとする説です。私には検証するすべはありませんが過去の化石が変化したというよりは、その両方の合わせ技、すくなくとも天然ガスは無機的に作られたように思います。
 これらを踏まえて結論から言うと、石油(含む天然ガス)が枯渇するには過去に言われていたよりも時間的な余裕はありそうです。

3.原油の輸入が途絶える可能性は意図的でなければない
 原発を強力に推進する人たちの論拠の一つにペルシャ湾岸の政治情勢の不安定など紛争要因があげられることがあります。これについては一定期間の石油備蓄がある以上あまり心配をしていません。なぜなら現代の戦争は過去の戦争のように何年も戦いが続き長引くことはほぼないからです(兵器の性能向上ですぐ決着がついてしまいます。)。加えて過去のような原油生産がペルシャ湾岸に集中するような状態は改善されつつあります。もちろん船で運ぶ時の輸送保険のWarRate(戦争保険料)が上がったり、受給のバランスで原油価格が上昇したりする局面はどうしても避けることはできませんが、その要素をどのように判断するかです。経済的な観点、エネルギーの安定供給という意味ではマイナスの要素ではありますが、果たして言われているような決定的な問題になりえるでしょうか。

4.核兵器の開発に関して
 これがおそらく一番根っこにある問題ではないかと思います。世界中のあらゆる有識者は日本が潜在核兵器保有国であると信じて疑いません。核物質をハンドリングする技術は軍用でない限り、原子力発電等で保持していくしかありません。しかし我が国が核兵器保有国である必要がほんとうにあるのでしょうか。今現在、積極的に核兵器の開発をしている国はありません。唯一、行われているのはバンカーバスターに搭載するための戦術核兵器くらいです。隣国の中国は大量の核兵器を持ち、我が国を挑発するようなこともあるのかもしれませんが、彼らの持つ核兵器が防衛目的であることには疑う余地はありません。ロシア、インドと長大な国境線を持つ中国にとっては不自然なことではないのです。

5.自然エネルギーと産業構造の変化
 自然エネルギーへの転換を含め電力供給の構造が変わると、様々な産業に影響を与えることになります。構造の変化は少なくとも一時的には電力生産コストの上昇を招きます。これは生産に大量の電力を消費する産業にとって負荷になります。従って業績のよくなる会社、悪くなる会社が必然的に出てきます。これは避けることができません。家庭用の電気料金も影響を受けるでしょう。それを人々がどう受け止めていくのかは大変興味深いところです。将来における犠牲、一部のものの犠牲の上に現状の安定と経済効率を求めるのか、非効率を受け入れて将来に対する影響を最小限にし、特定の人々が不幸になることを避けるのか、そんなことがひとりひとりに問われているように思います。何もかもうまくいくような道は存在していません。

代表 小西おさむ

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